嘘はときには星降らす

from atelier anmo

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親子であること  

IMG_0016.jpg


先日のことである。
父親から着信が三件も残っており、

とうとうお袋でもぶっ倒れたか
と思い、かけなおしたところ、

「おー、薫、どうしたの?」
「いやいや、着信が三件もあったから、こっちがどうしたのだよ」
「あーあー、おとうさんねー、今ね、お酒いただいてまーす」
「あ、そう。ならいいんだけど、じゃあ、またね」
「あー、まって!まって!」

実にどうでもいい内容だったことと、
よくわからないけれど、ちょっとイラっとしたため
僕は電話を切った。

30分後にまた着信があり、

「何よ?」
「お父さんねー、今ねー、お酒飲んでまーす」
「それさっきも聞いたよ」
「あれ?本当?俺、電話したっけ?」

僕は電話を切った。

直後にも何度か親父から電話があったが
無視して出なかった。

その後また30分後に今度はお袋から電話があった。
お袋が酔っている親父のことを詫びるのかと思い電話に出ると

「もしもし?」
「おとうさんでーす、今ねー、、、」

僕は電話を切った。

その後、父の電話も、母の電話にも出なかった。


次の日、朝起きて電話機をみると留守番電話が三件。
再生すると親父の声で伝言が残されていた。


一件目
「かおるー、なんででんわでないんだー?」


二件目
「おとーさん、薫の声ききたいなー」


三件目
「、、、 馬鹿やろう」


ぼそりと罵声が聞こえ、伝言はブツ、と切れた。

酔っている親父の声は、
もはや怒っているのかふざけているのかもわからず、
朝一から後味の悪さだけが残った。


もともと僕のおやじは狂気じみたところがある。

以前、帰省した際、
茶の間に大中小のマサカリが並べてあったので

「これ、どうしたの?」

と訊くと、親父は満面の笑みで

「これいいべ。マサカリ。おとうさん、ずっとほしかったんだー」

マサカリ?ほしかった?なんで?と思っていると
親父はおもむろに小さいマサカリを取り出し、その日の新聞紙をしゅっと切ってみせた。
彼はマサカリをうっとりした目で眺め
僕に向かって「どう?」と問うた。

僕はぞっとしながら、「ああ、いいね」といった。


また、ある日。

狩猟用のパチンコが置いてあったことがある。
子どもが遊ぶようなかわいいやつではなく、
プロ用の、肘にひっかけて使う、ボーガンみたいなやつだ。
ああ、怖い、と思いながら親父に問うと

「これな、みてろ」

といって本気で外の雀を狙っていた。

僕も母もやめろというのをぜんぜん聞かず

「あっ!おしいなー」
と呟いていた。


そんな親父だが、

「薫はお父さんにそっくりだなー」

と、いっていたのが妙に気になって仕方がない、
そんな今日この頃である。


さてさて、僕がやっているバンド「つきのうみ」の
スタジオレコーディングPVが出来上がりました、
今回は「あしおと」、「ゲジゲジ」の二曲、
良かったらぜひにご覧くださいね!


映像はコチラ↓
つきのうみ PV

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category: 日々の事

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ある夏の日の午後  

hokkaidou yama


花ごころのある人になりたい。


と最近よく思うようになった。

野花でもいいから、
さっと摘んだものを、
一輪挿しにしてみたり、
季節の花を何気なく飾れるような
そんな人になりたいのだ。


まだ僕がお勤めをしていた頃の話である。

僕は雑貨屋の店員をやっていた。

店では入り口の前に毎日植物を飾っており、
それについて、特に担当を設けていたわけではないのだが、
女性スタッフや、店長が近くの花屋で植物を買ってきて
きれいに活けていたのである。

たまに来るお客さんからは
「入り口のあれ、きれいねー、なんていうの?」
「あれはバラ科の花でー、、、割と日持ちもしていいんですよー」

と、ほかのスタッフが説明しているのを
僕も一緒になって、「へーなるほどねー」、
なんつってアホウの様な面でにやにやしているばかりで、

僕が聞かれても
「ねーきれいっすねー、なんつーんでしょうねー、ははは」
と答えるのみ。

ある日、
店長も女性スタッフもおらん時があって
僕が一人で店をみる日があった。

一通り掃除を終え、オープン間近になったとき、
ふと入り口をみると、花が枯れており、
いかんことになっていた。

誰か、花買ってきてー、といいたいところだが
あいにくこの日は前半僕一人。
仕方がないので僕が買いに行かねばならない。

花屋は歩いて一分ほどのところにあるので
急げばオープンまでに間に合うであろう、
僕はしゃっと店を飛びでて花屋へと向かった。


花屋にはたくさん花がある。
んなこたーわかっている。
わかっているのだ。

問題はどれにするかである。
ひとしきり店内を見てみたが、正直ちっともわかんない。
こまったちゃんですねー、はは

うーん
どれもいいように見えてくるし、
どれもいまいちな気もする。

そうこうするうちに、
だんだんどれでも一緒か、
と思うようになってきた。


そうか、一緒か。


一緒なら日持ちするのがいいはずだよね。

そいだら、
店員さんに聞いてみて、
日持ちするのを選んでみよう。

これ賢明な策である。


「日持ちするのってどれっすかねー?」
「今はねー、暑いから、どれも持たないから
 葉っぱものなら比較的持ちやすいですよ」

なるほど、緑。
いいじゃないか。
さわやかに緑でいってみるか
ていうことで、中でも一番丈夫そうなやつを選び、

「これって日持ちしますかねー?」
「ああ、それ?しますけどねー」
「じゃあね、これで」
「いいんですか?何本にします?」
「五本くらいかなー、ボリュームほしいしね」
「かしこまりました、じゃあ用意しましすねー」

いっすねー、いっすねー
早速、かざりましょう、そうしましょう、
持ち帰り、花瓶に水を入れ、葉っぱの向きも直した。

完璧である。

夏の日に緑が生い茂り、とてもきれいだ。
植物は心をすがすがしくする。

なんだ、やればできるではないか。
わからないだけで、やればちゃんとできるのである。

僕は何かに挑戦し、成し遂げる素晴らしさを知った。

同時にふと、昔テレビでよく見た
「はじめてのおつかい」
を思い出した。

外は暑く、風が少しだけ吹いていた。



しばらくすると、店長が外出から戻った。
ちょっと怒っているような、悲しんでいるような、
そんな顔をしていた。

「外のあれ、買ってきた?」
「はい、さっき花屋で、結構日持ちするみたいですよー」
「あれ、今すぐとって」
「ええー?なんでですか?せっかく買ったのに。暑いし緑きれいですよ」
「店の前に榊(さかき)なんて飾れないでしょ、何考えてんの?」
「え?あれ榊なんすか?」
「いいから、はやくとって!」

三階に飾るか?と聞いたら、馬鹿言うな、といわれた。



次の日、出勤したスタッフは

「え!? この流しにおいてある榊、どうしたんですか? 気味悪い!」

といっていた。

また次にきたスタッフも同じことをいっていた。


茶目っ気をきかせて、

「榊がきれいだったんでー、店に飾ってみましたー」

と言おうか迷ったが、恥ずかしいのでやめた。


僕は地蔵のように
地蔵のように堅く口を紡ぎ、

黙っていた。



榊は水を失っても元気よく、
しっかりと葉を茂らせていた。


ある、夏の日の午後のことであった。



夏の日に見たあの緑みどりなり  藻杏



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